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第2章 P.52~本文の一部の紹介です。出版社との契約関係で、全部を掲載できないことをご理解ください。
 購読していただき、活用していただければ嬉しく思います。   著者:井手無動

“意識”と“無意識”の正体

 私たちの心は謎ともいえる多くの影響を受けています。

 なぜ謎かというと、それらの多くの影響が、私たちの“意識”で捉えることができない“無意識”からの働きかけだからです。
 人の心は、“意識”と“無意識”の両面を持っています。
 この2種類の脳の働きが、不可解な謎ともいえる機能を作り出し、心という現象の働きに影響を及ぼすのです。
 私たちが意識的な行動をとっているとき、脳内での活動は外界からの刺激を処理して適切な反応を行っていますが、その活動は脳全体のほんの一部に過ぎないのです。脳活動の大半は意識されておらず意識に上らない脳活動が、意識にのぼる体験や思考の方向づけをしているということが分かっています。

この意識されない脳の神経回路を行き交う電気的・生化学的信号による脳内での働きが、“無意識”と呼んでいるものの正体なのです。
 脳の働きには、意識化されて理性的に処理されている面と、意識化されないまま“無意識”に活動している面があるのです。

 次のような状況を想像してみてください。
 あなたはやらなくてはいけないことがあって、頑張って何かをしようとする。そうすると、何かソワソワしだして他のことに手を出し、そちらを先に済ませようとしてやらなければならないことを後回しにしてしまう。
 こうした経験は良くあることだと思います。
 これはあなたの無意識からの抵抗なのです。やろうとしていることが、試験勉強のような、自分が試される内容だと、自信が無い時ほど手が出ないし、先送りしてなかなかはかどりません。
 または、人の中にいて、自分が人から非難を受けているように思えたり、攻撃されないかびくビクついて自己主張できなかったり、どのように周囲と関われば良いか分からずに孤立したり、異常に遠慮したり、人の顔色をうかがったり、不機嫌そうな人がいれば気になったり、頼みごとを断れなかったり・・・どうして自分がそのように振る舞ってしまうのかの理由が分からずに、生まれつきの性格と思って諦めながら自己嫌悪に陥り悩んでしまうのです。
 このように、日常生活において、自分の意思ではないのに、なぜか逆らえないようなことが多々あります。

トラウマによる負の引き寄せ

 私たちは、意識することなく自分で気づかないまま、無意識からの働きに振り回されていることが多いのです。
 自信があるかないか、またはなぜそうしてしまうのか、それはあなたの過去における経験から判断され無意識のうちに決定づけられているのです。
 人は、無意識の領域がストレスを感じ始めると、そこから逃げようとしてしまいます。ストレスに対して、逃走か闘争かといわれる現象で、逃避することの方が多いといえます。もっとも逃避する方が無難に思えますが、人間の場合、現実逃避している自分を自ら責めることで、また新たなストレスを生み出しているのです。
 自信という問題に限らず、あなたの性格や人生は、無意識内のトラウマによって、大きな影響を受け続けてきたのです。
あなたの性格や人生は、無意識内のトラウマによって、大きな影響を受け続けてきたのです。
 そうした影響によって、あなた自身の今の環境がつくられたのです。つまり、人との関係だけではなく、環境の大部分を実は自らが引き寄せているともいえるのです。

“情動”とストレス反応

 心の世界は、自分で思うようにいかない、理性で制御しにくい感情に振り回されています。この感情を脳科学では、“情動”と表現します。
 心理的な部分にのみ焦点をあてて表現するとき“感情”と同じ意味で使います。
 無意識の世界は、不安や恐怖や喜怒哀楽といわれる感情の働きを作り出しています。こうした感情が織りなす脳の働きは、身体的に反応を作り出す自律神経に即座に影響を与えます。この情動によるストレス反応には、自律神経系の反応と内分泌系の反応の二つがあります。
 一時的なストレスは、自律神経系で処理されますが、生活の中から生じる長期にわたる解決しがたいストレスは、慢性的ストレスと呼ばれ、内分泌系が働きます。内分泌システムの反応が長く続けば身体や脳の健康にとって有害なものになってきます。
 詳しいことは後で述べるとして、先に進みましょう。

私たちは、日常の生活における様々なことを自ら適切に判断し、意識的な自己の意思で決定していると勘違いしています。
 しかし実際は、すべては無意識からの働きかけで動いているといっても過言ではないのです。意識化されるのはそのほんの一部であり、ほとんどが意識化されないまま影響を受け、意思決定が無意識の領域でなされてしまうのです。
 それが人の脳の構造からくる心の働きの特徴なのです。













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