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まえがき

 この本は、より多くの方に、催眠療法というものを深く理解していただくために書いたものです。したがって、できるだけ専門用語と論文的な、読みづらい表現を避けて、一般の悩まれている方々に楽に理解できるように心がけました。本文中で、心の病についていろいろな例を挙げて無意識の世界を深く掘り下げていきますが、現在いろいろな症状や悩みで苦しんでおられる方々や御家族にとって、どのような治療(対処)をしていけばよいかが分かり、光が見えてくることを願って書いたものです。
 心の病も現在は心療内科などで薬をもらい治っていく人も大勢います。しかし、どうしても薬だけでは治らない、副作用がひどく薬物治療が続けられないなどで困っている方にとて、カウンセリングを受けたり、様々な心理療法を受けたりと、試行錯誤される中、催眠療法を受けることはいろいろな不安があり、できれば避けたいと思っておられる方も多いと思います。それほどいろいろな誤解や偏見がいまだに存在しているようです。しかしながら、心理療法の中に取り込まれた催眠療法は素晴らしく驚異的な効果を発揮します。奇跡と思えるような効果をもたらすこともあります。こう書くと誤解されそうですが、効果というものは、地味な催眠療法(心理療法)の結果生まれてくるものであり、魔法のように1,2度の催眠暗示で生み出されるものではありません。
 昔から催眠療法と称して、様々な方法で催眠状態に導き、暗示を与え症状を緩和しようとしてきました。このような古典的なやり方では、たとで効果が上がったとしても一時的でしかありません。人の心はそのように単純にできていないのです。人がある症状で悩んでいるとすれば、その症状を作り出している原因というものが必ずあります。そしてその原因は、人が生まれ育つ中で、特に幼少期にどのような心の傷が付けられたか、長期にわたるストレス環境によりどのような感情のしこりが形成されていったかを見極め、本人に認識させることも大事なことです。そして、心の奥深いところに抑圧され、深く根ざしているそれらのしこりをほぐし、解消してあげることで完全に、そして永久的に症状は消えていくのです。
 心の病を作り出している原因となるものの正体は単独というより、いくつかの原因が複合している場合がおおいのですが、無意識の世界に抑圧されているそれらの原因を意識の世界に引き上げ認識させた上で心をほぐし浄化してやる必要があります。
 もし、原因となるものを無視し、催眠の暗示だけで症状が出なくなるようにしたら、(一般的には、しばらくしてまた再発しますが)原因が消えていない以上、その(深く根ざしている)原因は別の働きかけをしてきます。つまり、今までの症状は治ったけどまた別の症状に苦しむことになるのです。そうした昔からの催眠療法の欠点として挙げられていたイメージを払拭するためにも、無意識の世界に抑圧された原因に焦点を当てそれを解消することができる新しい「催眠療法」が必要なのです。
 これまでいろいろな治療を試したがどうしても治らない、または悪化しているという方は、心の深層の世界を見つめ直してみてはいかがでしょうか。きっとそこに答えを見い出すことができるでしょう。トラウマなどにより作り出された症状の原因から解放され素晴らしい未来を手に入れてください。
 私のところに相談に来られる方の中には、この症状は本当に治りますかと何度も念を押される方もおられます。そういう人は悪意でもって私を疑っているのではなく、人は治っても自分は治るだろうかと不安でたまらない人なのです。今までいろいろな療法・治療をやってみて治ることができなかった人でもあるのです。しかし、人が治るのであれば自分も治る希望が持てると積極的な心で私の催眠療法に取り組んでいかれることが、心の病を乗り越えるために必要な心の姿勢なのです。そしてきっと治るでしょう。
 そのような不安や間違いを犯さないためにも本書を読んでいただきたいとねがっております。読んでいただくことで心の病の本質を理解していただき、初期の内に適切な対処ができれば、心の病はそれほど深刻に考えることでもありません。しかしながら、そのままにして症状を悪化させ過ぎると後戻りできなくなることはいうまでもありません。そうならないように早く対処することです。また、病気にかかっていることをことさらに恐れ、不安がり症状をさらに進行させることがないように注意して下さい。
 私の主催するマインド・サイエンスは九州の福岡という地盤にもかかわらず全国から相談においでいただいております。このような状況ですので、、本文中に紹介しております多くの症例は、地元の方々に偏っているわけではなく、広域からの相談者の例をもとに、プライバシーを保護するため、具体的に地域や個人が特定できないように配慮しております。
 本書が心の病でお悩みの方々のお役に少しでも立つことを願ってやみません。

井手無動

◆ 目  次 ◆

まえがき

第1章 催眠療法について
催眠療法とは
催眠療法のあり方について
心を治すとは
トラウマ(心の傷)とは
治療者側に努力と向上
退行催眠療法とは
どのようにして症状が消えるか

第2章 症状の実際と治療理念
寂しくて一人でいられない
親の愛情を受けていない
親を殺したくなる
子供時代の環境(不安神経症)
共依存症
パニック障害
強迫性障害(強迫神経症)
症状が進行する背景
■強迫神経症の場合
■おならで悩んでいる場合




人と交流ができない
自分に自信が持てない
赤面
身体醜形(恐怖)障害
劣等感
対人緊張・あがり
対人恐怖・視線恐怖
多汗症
幼児虐待
■親からの虐待
■世代間伝達
性的不能
性的虐待
前世療法について

付 録 
自己催眠と他者催眠
自己催眠を学び活用することの価値
他者催眠術に対する誤解
他者催眠術の習得
あとがき